シロアリを見かけたときは、思わず殺虫剤を使いたくなるものです。
ただし「シロアリに殺虫剤を使うのはだめ」と言われているのをご存じでしょうか。
シロアリが危険を察して、巣を地中の奥に移す可能性があります。
駆除がより難しくなるため、殺虫剤は慎重に扱ってください。
シロアリの駆除は素人では難しいため、専門の業者に依頼したほうが確実です。
今回は、シロアリに殺虫剤を使うのはだめと言われる理由や、殺虫剤を使う正しい方法、おすすめの殺虫剤を紹介します。
「シロアリに殺虫剤はだめ」と言われる理由
シロアリに殺虫剤はだめと言われていますが、使ってはいけない理由が3つあります。
最初に、殺虫剤はだめと言われている理由を説明するので、覚えておきましょう。
【理由1】市販の殺虫スプレーでは被害が拡大する恐れがある
シロアリを見かけた際に殺虫スプレーを使う方がいますが、シロアリ対策としては逆効果となってしまうのが理由です。
害虫用の殺虫剤は、虫を寄せ付けなくする効果があるので、シロアリに殺虫剤を吹きかけると逃げてしまいます。
別の場所を探して、その場所にある木材を食べるため、大きな成果にはつながりません。
ちなみに、市販されている殺虫スプレーの忌避効果は1週間程度であり、時間が経つと忌避効果が消えます。
そうなると、スプレーをかけた場所に戻ってくるため、根本的な対策にはなりません。
【理由2】殺虫スプレーでは完全に駆除できない
シロアリは、数千匹から数万匹の個体が生息する巣を作ります。
たまたま見かけた数匹に対して殺虫スプレーをかけても、それは家の中にいる数万匹のうちわずか数匹にしかなりません。
すでに家がシロアリの被害に遭っている場合は、根本的なシロアリの駆除をおこなわなければいけません。
シロアリ被害を放置していると建物の食害が進み、建材に大きなダメージを与え、耐震性が大きく下がります。
シロアリの根本的な駆除は、素人には難しいものです。
シロアリを見かけた場合は、迷わずに専門の業者に依頼してください。
【理由3】ピレスロイド系殺虫剤は予防には役立つが駆除には不向き
忌避剤であるピレスロイドは、シロアリを寄せ付けない効果もあるため、被害の予防としては使えます。
シロアリに使う殺虫剤は殺虫成分が発生しづらいものですが、忌避効果が他の害虫用と比べて長く続きます。
ただし、殺虫剤はあくまでも予防として使うものであり、すでに発生しているシロアリに使ってもあまり意味は無いでしょう。
シロアリ駆除で殺虫剤を使う正しい方法
シロアリの駆除では、正しい方法で殺虫剤を使わなければいけません。
シロアリの駆除方法にはベイト工法とバリア工法の2つがあるので、それぞれについて解説します。
ベイト工法
ベイト工法とは、シロアリにとって毒となるベイト剤を入れた餌を、家の周辺に埋める方法です。
ベイト剤が入った毒餌をシロアリに食べてもらい、そのシロアリが毒によって死ぬことで、駆除につながります。
ベイト剤には、シロアリの脱皮を抑制して死に至らしめる効果がありますが、脱皮をしない猫や犬などには効果がありません。
そのため、赤ちゃんやペットがいても、影響なく使用できます。
ただし、毒餌を持ち帰ってもらわないと駆除にはつながらないため、即効性は期待できません。
ベイト工法に使うベイト剤と容器はホームセンターで売っているので、事前に用意しましょう。
容器にベイト剤を入れて、建物の基礎から20~30cm離れた場所に穴を掘り、ベイト剤を埋めてください。
バリア工法
バリア工法とは、駆除剤を直接シロアリに吹きかけたり、木材や土に撒いたりする方法です。
ベイト工法とは違い即効性が期待できますが、赤ちゃんやペットへの影響も心配です。
赤ちゃんがいたり犬や猫を飼っていたりする家庭には、おすすめできません。
バリア工法は、まずは被害を受けている場所に、ドリルで直径1cmの穴をあけます。
穴に薬剤を入れて、木栓でフタをしてください。
木材の表面に吹きかけるときは、蟻道に対してムラがないようにかけていきます。
最後に、地面に薬剤を撒いたら終わりです。
シロアリ駆除におすすめの殺虫剤4選
ここでは、シロアリの駆除におすすめの殺虫剤を4つ紹介します。
実際にシロアリの駆除をおこなう際に、参考にしてみてください。
イカリ消毒 イカリシロアリハンター
イカリシロアリハンターには脱皮阻害剤が含まれており、脱皮を抑制する効果が含まれています。
子どもや赤ちゃん、ペットには効果がないため、安心して使えます。
使うときは、ベイト工法と同様です。
効果が2年続く点も、イカリシロアリハンターの特徴です。
正しく使えば、長い間シロアリの被害に悩まずに済みます。
吉田製油所 白アリ ミケブロック
ミケブロックは、水で薄めて使うタイプの駆除剤です。
シロアリに対して効果が期待できますが、さらに木材の防腐・防カビ効果もあります。
腐った木材はシロアリの好物であるため、シロアリの被害を二重に防げるわけです。
ミケブロックを使う際は、スプレーを使って広範囲に吹きかけてください。
正しく使わなければ、薬剤の効果が発揮されません。
アース製薬「アースガーデン シロアリの巣撃滅」
アース製薬が発売しているアースガーデンは、ピレスロイドが含まれている殺虫スプレーです。
そのため、シロアリの駆除ではなく予防として使うスプレーです。
食害を受けている場所の他に、木材に穴をあけて注入する方法もあります。
アースガーデンは液体タイプであるため、風が強くても口や鼻に入ったり服についたりする心配がありません。
フマキラー シロアリ 駆除 殺虫剤 スプレー ジェット プロ
ピレスロイドが含まれている忌避剤ですが、木材の防腐効果があるジプロコナゾールも含まれているのが特徴です。
シロアリの予防と木材の防腐効果が期待できるため、一石二鳥です。
効果が1年で切れるため、時期が来たら新たに薬剤を用意しましょう。
殺虫剤を使うシロアリ駆除は専門業者に依頼するのがおすすめ
ここまでシロアリの駆除方法を伝えてきましたが、素人にはシロアリの駆除は難しいものです。
そのため、シロアリの駆除は、専門の業者に依頼するのが確実です。
巣の完全駆除から予防対策まで依頼できる
専門の業者は、シロアリの駆除と予防をワンセットでおこないます。
シロアリの予防には殺虫剤が使えますが、薬剤の効果が発揮する期間は、的確な場所に散布できる前提です。
シロアリの駆除経験がない素人は、どこに薬剤を撒けばよいのかわからず、駆除・予防効果につながらない可能性があります。
どこに薬剤を撒くのかわからない場合は、専門業者に相談しましょう。
保証期間がある
シロアリを駆除したとしても、来年またシロアリの被害が起こる可能性があります。
業者の場合は、シロアリの駆除と予防をおこなったあとに、保障期間が定められています。
保証期間中にシロアリが発生した場合は、安価・無料で駆除と予防をおこなうため、お得です。
自分でやると家屋を傷つけたり体調が悪くなったりするリスクがある
誤って薬剤を吸い込んでしまい、体調を崩してしまうリスクがあります。
特に、バリア工法で使う薬剤には人体への影響もあるため、薬剤が風に乗って口に入ってしまうリスクがあります。
また、バリア工法をおこなう際にドリルで穴をあけるため、建材を傷つけてしまうケースにも注意しなければいけません。
シロアリの殺虫剤は正しく使おう
シロアリに殺虫剤はだめと言われる理由は、シロアリに殺虫剤をかけても逃げてしまうからです。
殺虫剤にはピレスロイドと呼ばれる忌避剤が含まれており、シロアリを寄せ付けない効果があります。
予防としては効果がありますが、シロアリの駆除には効果がありません。
シロアリの駆除方法にはベイト工法とバリア工法がありますが、どちらも素人には難しいものです。
シロアリの駆除経験がない方は、シロアリの駆除を専門に請け負っている業者に依頼するようにしましょう。