アライグマはあのかわいらしい容姿とは裏腹に、農作物や環境にさまざまな被害をもたらします。本来、日本に生息しない外来種であるアライグマですが、日本の環境が生態に合っていたことが原因で年々増加していて、増加に比例しさまざまな問題が発生しています。この記事では、アライグマの生態や被害の実情について触れながら、畑を守るために効果的な対策方法や、専門業者に依頼する際のポイントを紹介します。
畑に現れるアライグマはどんな動物?
アライグマは、アメリカ、カナダ、中央アメリカが原産の動物で、食肉目アライグマ科に属しています。1970年代にアニメの影響でアライグマを飼育する方が増えたため、国内に輸入されるようになりました。しかし、非常に気性が荒かったこともあり放逐する方が続出し、その結果、野生化し現在の状況になったのです。
国内のアライグマは、北海道から九州までと、広い範囲で生息しています。アライグマは夜行性で、日が出ている時間は、樹木の間や地面にあいた穴に入って眠ったり、個人宅の倉庫や屋根裏に入り込むこともあるようです。
年々増加する要因として、非常に生命力が強いことや日本国内にアライグマにとっての天敵がいないという恵まれた環境があげられます。
アライグマによる被害
健康被害
アライグマの身体には、寄生虫やノミ、ダニ、食中毒菌などが付着していて、その状況で屋根裏や側溝など人間の生活エリアを出入りしています。付着している細菌や微生物はそのまま繁殖するため、結果として、人間やペットに感染し重い症状を発症させます。
中でもアライグマ回虫という名前の寄生虫は、神経障害を招く非常に危険な寄生虫です。最悪の場合には、死に至らしめるリスクがあるため十分に注意しなければいけません。
環境被害
アライグマは、やわらかい身体と身軽な体躯、鋭い爪を使った木登りスキルなどを持っている動物です。そのため、小さな隙間から屋根裏や倉庫、神社などに侵入し住み着くことがよくあります。住み着くことによって、糞尿による汚れや悪臭、出入りする時に爪によって付けられる鋭い傷、屋根裏などを歩く時の物音などの被害が生じます。
また、犬や猫を飼っている場合には、アライグマによってペットが傷つけられたり、ペットフードを食べられてしまう被害もあります。
農作物被害
アライグマは、畑で育てている農作物が大好物です。特に甘みのある果物を好んで食べます。また、果物だけでなくジャガイモやトマト、トウモロコシなども好みのようで、全国的に多くの被害が生じているようです。
アライグマの駆除や捕獲は勝手にできない
アライグマは特定外来生物に区分けされているので、駆除対象の害獣です。しかし、自治体ごとに駆除や捕獲方法が決められているため、好き勝手に駆除や捕獲をすることができません。アライグマを捕獲しようと思ったら、市町村役所に連絡して許可を取りましょう。
市町村役所に許可を取る際に、使用することのできる罠の説明を受けましょう。一般的に使われている罠は「箱罠」です。箱罠は入り口のある檻の形をした罠です。獲物が入ると入り口が閉まり、閉じ込めるタイプの罠になります。初心者でも設置や捕獲が簡単な上、安全性も高いので、多くの自治体で採用しています。
アライグマは捕獲した後は、勝手に殺処分することはできません。捕まえた人が住んでいるが市町村役所に連絡し引き取ってもらいましょう。自分で持ち込みたいと思われる方がいるかも知れませんが、外来生物法によって、運搬すること自体が禁止されています。
アライグマによる畑の被害を防ぐための対策
畑の周囲の見通しを良くする
アライグマによる畑の被害を防ぐために最初におこなうべき対策は、アライグマが身を隠せる場所を無くすことです。畑の周りにある手を入れていない雑草や茂みなどを刈り取ると、アライグマは身を隠すことができなくなりますので、他の場所に生活拠点を移動してくれます。常に見通しの良い状態を維持することによって、アライグマの侵入を防ぐとともに、新しいアライグマが住み着くことを未然に防ぐことができます。
忌避剤で追い払う
忌避剤は、アライグマなどの害獣が嫌いなニオイで作られた薬剤です。忌避剤をアライグマが出没するエリアに設置や散布しておくことによって、アライグマを寄せ付けないようにすることができます。基本的にアライグマは、水のある所や暗い所を好んで移動するため、用水路や排水路、側溝、雑草の生い茂る畑の周りに設置するとよいでしょう。
電気柵を設置する
畑などにアライグマをはじめとする害獣を侵入させないようにするには、確実性の高い電気柵を設置しましょう。アライグマはかわいい見た目に反して、害獣の中でも身体能力が非常に高くなっています。木登りなども得意ですので、金網柵や防風ネットを設置するだけでは侵入を防ぐことはできません。
電気柵でアライグマを殺処分することはできませんが、強い電気刺激を与えることができますので、畑にくると痛い思いをすると理解させることができます。非常に効果の高い対策ですので、設置する方も多いようです。
畑のアライグマ対策を専門業者に依頼するポイント
アライグマの駆除や捕獲には、住んでいるエリアの市町村役所ごとに、異なる規制や手続きが存在しているだけでなく、殺処分ができないことや捕獲後の手続きも面倒なため、専門業者に依頼する方も多いそうです。優秀なアライグマ駆除業者は、培ってきた経験や専門知識を活かした作業をしてくれます。しかし、中には悪質な業者もいるため、業者選びは慎重におこなう必要があります。
優秀な駆除業者を選定する際には、これまでの実績や評判を確認してください。過去の実績が豊富な上、口コミサイトなどでも良い評価を得ているような業者は、信頼できる業者といえるでしょう。逆に過去の実績がない業者や、口コミにネガティブなことが書かれている業者は、避けるようにしましょう。
次にチェックしてもらいたいのが、料金体系やサービス内容が明確になっていることです。料金やサービスの内容がホームページ等に明確に表示されている業者は、信頼できるといえるでしょう。逆に悪質な業者の場合には、料金やサービス内容をあえて曖昧にすることによって、駆除した後に追加料金を請求してきますので、避けるべきです。
併せて見積もりや事前説明をしっかりとしてくれるかも判断材料になります。信頼できる業者の場合には、見積もりを出す際も丁寧に説明をしてくれます。こちらの疑問点にも真摯な態度で対応してくれます。見積もりや事前説明の際に、丁寧に対応してくれる所、こちらの疑問に納得のいくまで説明してくれる業者を選ぶと安心です。
畑のアライグマ対策は専門業者に相談するのがおすすめ
アライグマは、日本国内で農作物や環境、健康面での深刻な被害を引き起こしている外来種です。そのため、駆除や捕獲には、外来種用の法律内でおこなわなければいけません。最近では有効な対策も確立されているため、状況に合わせて畑の周辺環境の整備や忌避剤の散布、電気柵の設置などの対策を施すことができます。
また、確実性の高い対策を講じようと思ったら、専門業者の力を借りることも有効な手段だといえます。適切な駆除業者を選ぶ際には、実績や評判、料金体系の明確さなどをしっかりと確認し、安全で効果的なアライグマ対策を進めましょう。