鍵には長い歴史があり、時代の流れによって鍵も進化し続けています。今回は古い鍵の種類や特徴について詳しく説明していきます。古い鍵の特徴を理解することによって、鍵そのものの歴史を知ることができるはずです。
代表的な古い鍵の種類
古い鍵の中で代表的なものと言えば、以下の5種類ではないでしょうか。それぞれ詳しく説明していきます。
・ウォード錠
鍵の内部にウォードと呼ばれる障害があるタイプです。古代ローマで作られた鍵であり、どちらかと言えば防犯性よりも芸術性を重視されているタイプと言ってもいいでしょう。
・レバータンブラー錠
内部にある板状のタンブラーをテコのように動かして開錠される仕組みの鍵です。倉庫や自動ドア、古い住宅に活用されていることが多いです。ちなみにレバータンブラー錠は構造がシンプルなものと複雑なものがあり、ハイブランドのスーツケースにも使われているほどです。
・南京錠
南京錠は知らない人がいないのではないか、と言うほどメジャーな錠前です。持ち運びができるもので、ダイアル式と鍵式になっています。防犯性は高くありませんが、カバンや自転車、金庫などに活用されています。
・海老錠
海老錠は名前の通り海老が反ったような形の錠前です。門や箱を閉じるための錠前であり、左右に開くドアの取っ手などに取りつけられていることが多いです。
・からくり錠
からくり錠はさまざまなからくりが施された錠前です。古い鍵だからと言って簡単に開けられるものではなく、現代でも開錠が難しいものが多く残されています。からくり錠は古代エジプトにまでさかのぼる歴史を持っている鍵です。
ウォード錠の特徴
ウォード錠の歴史は古代ローマにまでさかのぼります。現在のウォード錠と同じではありませんが原型となるものが作られていたと言われているのです。
古代ローマに作られていた原型が時代を経て、イギリスの鍵職人の手によって進化を遂げ、現在のレバータンブラー錠が発明されるまで主流の鍵として扱われてきました。特に貴族の間で人気を集めていて、豪華な装飾が施されたウォード錠もあります。現代でも芸術的な価値があるほどです。
ただ、長期にわたって主流となっていたウォード錠ですが、スケルトンキーが開発されたことによって防犯性が低くなり、次第に使われなくなりました。スケルトンキーで、ほとんどのウォード錠を開錠できる弱点が露呈してしまったからです。
レバータンブラー錠の特徴
レバータンブラー錠は18世紀ごろのイギリスが原型で作られたと錠前と言われています。鍵穴に板状の障害物を設けて、鍵を差し込んで回すことによって開錠されるという仕組みです。
鍵が進化していなかった以前ならばともかく、現代では非常に簡単に開けられる恐れのあるタイプの鍵です。しかも鍵穴から中を覗くことができるためピッキングされるリスクもあります。他にもスケルトンキーを使うことで、正規の鍵以外でも簡単に開けられてしまいます。
更に、レバータンブラー錠は老朽化によって開かなくなる可能性があります。経年劣化によって鍵が鍵穴に入らなくなる、鍵が回らなくなるというトラブルも起こっています。そのため、現在レバータンブラー錠は防犯性が高い鍵とは言い難くなっているのです。
南京錠の特徴
お手軽な鍵として知られているもの、それが南京錠です。南京錠は、名前から中国で作られたものと勘違いしている人も多いのですが、実は古代ローマでは使われていた形跡があります。そのため、諸説はありますが中国発祥というわけではないようです。
南京錠はバッグや郵便ポスト、物置や自転車などさまざまなものに活用されています。手軽に扱えるという点から見ても防犯性は高くないことが伺えるタイプの錠前です。ただ、南京錠と簡単に言ってもさまざまなものがあります。素材や掛け金、施錠や開錠の方法などさまざまなものがあるので、用途に合わせて選びましょう。
ただし、南京錠はお世辞にも防犯性が高いと言えないものです。活用する場合はその点をしっかりと考えた上で使うようにしてください。
海老錠の特徴
海老錠の始まりは飛鳥時代と言われています。大阪府羽曳野市にある野々上遺跡から出土されたそうです。ちなみに、当時の海老錠は権力を持つ人が使用していたと考えられています。遺跡から出土されているのも、その証のひとつでしょう。
ただ、時代が流れるにつれ、さまざまな錠前が登場することで海老錠を活用する人も少なくなってきました。日本でもっとも古い鍵と言われる海老錠ですが、独特な作りと仕組みをしています。
一時は多くの人が海老錠を利用していましたが、高度経済成長期後半になるとさまざまなデザインの錠前が登場して、より防犯性の高いものに移り変わっている傾向にあります。ただし、現在も海老錠を社寺錠として活用しているところが多くあります。
からくり錠の特徴
からくり錠は名前の通り、鍵を開けにくくするためのからくりが施されている錠前です。古い鍵の代表のひとつに数えられています。古い鍵は開けやすいというイメージがありますが、からくり錠は現代でも開錠が難しいものも少なくありません。
からくり錠の歴史は古代エジプトと言われ、仕掛けや難易度、そして形状などさまざまなものがあります。からくり錠に関してはコレクターもいるほどです。古い鍵でありながらも防犯性の高さにも定評があります。そのため、当時でも権力者がからくり錠を活用していたそうです。自分の財をアピールするために豪華で派手な装飾のからくり錠も多くありました。
現在でもからくり錠は人気があり、アンティークショップやネットオークションで購入することもできます。海外人気も高く、現在でも注目されている錠前のひとつです。
古い鍵の防犯性に不安を感じたら新しい鍵に交換するのがおすすめ
古い鍵には趣などもありますが、防犯性に優れているのは新しい鍵の方です。特にウォード錠やレバータンブラー錠は、スケルトンキーがあれば正規の鍵でなくても開けられてしまいます。鍵は防犯上、非常に重要なものです。
「今まで大丈夫だったから問題ない」と思っている方も、利便性の高い新しい鍵に交換するという選択肢も考えてみましょう。防犯や鍵のことで不安がある人は、一度専門業者に相談をしてみることをおすすめします。