大切な家屋を食べ荒らし、建物の破損や倒壊の原因となることもあるシロアリによる被害。シロアリは繁殖スピードが驚くほど早く、家に侵入するとあっという間に被害が進行してしまいます。このような状況を防ぐためには、建物に変化や異変がないかこまめに確認することが大切です。そこで今回は、シロアリ被害の初期症状についてまとめてみました。また、シロアリ被害が進行した際に見られる症状やシロアリを見つけた際の対処法、専門業者に駆除を依頼した際の相場などについても紹介しています。大切な家が手遅れになる前にシロアリ対策の参考にしてみてください
シロアリ被害の初期症状
シロアリが住み着きだした段階で見られる、シロアリ被害の初期症状について確認しましょう。あなたの家には次のような症状はありませんか。現在心当たりがない場合でも、今後シロアリ被害の初期症状が出た際にすぐに気付けるよう事前にチェックしておくと安心です。
蟻道(ぎどう)がある
シロアリが嫌いなもののひとつに、風や光が挙げられます。その習性からシロアリは、土や排泄物などを用いて蟻道というトンネル状の道を作って移動します。蟻道が見られる場所の多くは、床下や壁面、外基礎など。このような場所に泥でできた細い筋道のようなものが見られたら、シロアリが作った蟻道である可能性が高いでしょう。
シロアリは蟻道を通って行動範囲を拡大していくため、被害を食い止めるためには迅速に対応することが重要です。しかし、蟻道を見つけたからといって、すぐに対処したい気持ちから潰そうとするのは厳禁。蟻道は巣の在り処を見つける手掛かりにもなるため、潰さず速やかに業者へ相談しましょう。
シロアリや羽アリを発見した
家の中や庭でシロアリや羽アリを目撃した場合、近くでシロアリの巣が存在する、もしくは新しい巣を作ろうとしている可能性も。羽アリは群飛(ぐんぴ)といって、春から夏にかけて新しい巣を作ろうと移動する習性があります。普段は目につきにくい場所にとどまっていることが多いものの、繁殖期を迎えると地面着地時に羽を落とします。そのため、羽アリ自体の存在が確認できなくても、その時期に床や玄関などに羽が落ちているのを見つけた場合は、シロアリ被害を疑ったほうがよいでしょう。
壁や床下からカタカタという音がする
壁や床下などからカタカタという音が聞こえた場合、それはシロアリが潜んでいるサインかもしれません。シロアリは鳴き声を出す生き物ではないものの、外敵が近くにいると察知した際に頭を振って床を叩いたり、歯を鳴らしたりと警戒音を出して仲間に知らせようとします。そのため自宅にいるときに壁や床下からカタカタと音が聞こえたら、一度点検してみることをおすすめします。
初期症状よりも進行したシロアリ被害の状態とは?

シロアリ被害の初期症状は、先ほど紹介した事柄以外にもいくつか例があります。しかし、よく耳にするような初期症状は、既にシロアリ被害が進んでしまっている状況であることも少なくありません。次で紹介する項目は、シロアリ被害が既に進行してしまっている際に見られる症状です。より迅速な対処が求められるため、当てはまる場合は要注意です。
ドアの開閉がスムーズにできなくなる
建物内部の木材までシロアリ被害が及んでいる場合、ドアや襖の開閉がスムーズにできなくなることがあります。扉の枠や框(かまち)は木材が使用されていることが多く、その部分がシロアリに食べられてしまうと戸の開口部が歪んでしまうためです。また、結露で濡れやすい窓枠もシロアリに狙われやすい場所です。食害を受けるとドアや襖と同様、スムーズに開閉できないといった症状が見られるようになります。このような症状が現れはじめたら、シロアリ被害を疑いましょう。
床がきしんだり沈んだりする
歩いたときに床がギシギシと音を立ててきしんだり沈み込んだりする場合、シロアリによって床下の木材が食べられ、床材の強度が落ちているのかもしれません。そのまま放置すると、床が抜ける危険性や建物の耐久性低下につながる恐れもあります。もちろん床材の経年劣化や木材の自然な伸縮による影響も考えられますが、シロアリによる被害の可能性も否定できないため、一度点検してみることをおすすめします。
木材が変色している
湿気を含みやすい風呂場や洗面所は、シロアリに狙われやすい場所のひとつです。このような場所にある柱や敷居などに変色が見られる場合は、シロアリの被害が拡大してしまっている可能性も。
木材の変色は経年変化で起こる場合があるものの、シロアリによって木材を食べ進められた際にも同様の変色が見られるケースがあります。これは木材が食害に遭うと内部に空洞が生じ、湿度を吸いやすくなることが関係しています。毎日使用する場所ゆえ変化に気が付きにくいかもしれませんが、シロアリ被害を拡大させないためにも定期的にチェックするようにしましょう。
木材に傷がついている
柱や窓枠などの木材に身に覚えのない傷がついていたり削れたりしている場合は、シロアリ被害が屋内に及んでいる可能性があります。シロアリは木材の中でも柔らかい内側部分を食べることが多いですが、内側が食害を受けた木材には少しずつ線状の穴があいてくるのが特徴です。ほかの害虫は円状に穴をあけるため、シロアリ特有の線状の穴が見られた場合は、速やかに点検を受けるようにしましょう。
柱や壁を叩くと空洞音がする
シロアリ被害を確認する手段として、柱や壁を叩く方法があります。叩いた際「ポコポコ」と空洞音が聞こえた場合は、建材がシロアリの食害に遭って空洞が生じている可能性も。
さらに内部の侵食が激しい際は、少し力を加えて押しただけで柱や壁がへこんでしまうケースもあります。特に湿度が高くなりやすい水回りの柱や壁は被害が出やすいため、叩いた際に空洞音がしないか定期的にチェックするようにしましょう。
フンや木屑が落ちている
家を掃除中、虫のフンや木屑が落ちているのを見つけたことはないでしょうか。これはシロアリの仕業であるケースも。シロアリのフンは小さい砂粒のような形状をしているのが特徴です。
ほかの害虫のフンである可能性も否定できませんが、木材近くにフンが落ちていた場合はシロアリ被害も疑ったほうがよいでしょう。また、同じく木材の付近で木屑が落ちていた場合もシロアリが食べた痕跡かもしれません。フンや木屑を見つけたら、業者へ相談するようにしましょう。
シロアリ被害を放置する危険性
木材の繊維を好んで食べるシロアリは、建物にとって重要な柱や土台を侵食してしまうことがあります。構造部分が被害を受けてしまうと家全体の耐久性が低下し、震災や台風などの災害時に倒壊するリスクが高まります。特に近年は自然災害が頻繁に起きている背景もあり、シロアリ被害を放置するのは大変危険です。
シロアリ被害の進行を食い止める対策

シロアリは高い繁殖力を持つ生物です。食害のスピードも速いため、初期症状が見られたら決して放置してはいけません。では、シロアリ被害の進行を食い止めるには一体どのような対策が有効なのでしょうか。
駆除剤を使用する
シロアリ専用の駆除剤は市販されているため入手しやすいほか、最も手軽に行える駆除方法です。しかしシロアリが発生し始めた初期段階や予防措置としてのみ有効であり、既に家に繁殖し始めているシロアリを完全に駆除するのは難しいと言われています。シロアリによっては柱や壁の内部で発生していることもあり、多いときには100万匹以上に及ぶケースも。そのような場合には市販品では対応しきれない場合もあるでしょう。
シロアリ専用の駆除剤ではなく家にあった殺虫剤で応急処置しようとする方もいるかもしれませんが、これは羽アリにとって逆効果になることも。シロアリを奥のほうまで追いやり被害を拡大させてしまう恐れがあるため、市販品を使用する際は必ず専用の駆除剤を用いるようにしましょう。
業者にシロアリ駆除を依頼する
シロアリ発生の初期段階であれば自力で駆除する方法もありますが、被害箇所になりやすい床下での作業は大変です。また、シロアリの被害状況や住宅の構造はそれぞれ異なり、適切に駆除するには専門の知識と経験が必要となります。そのため、専門業者に依頼するのが安心かつ安全です。適切な調査に加え、業務用の薬剤や工法を用いて隅々まで対処し根本から解決してくれるため、再発を防ぐ点でも効果的と言えるでしょう。
しかし、なかには悪質な業者も潜んでいます。悪徳業者を見分けるためには、適正な費用相場を把握することが大切です。シロアリ駆除の料金設定は、坪数もしくは平米の単価で表示されるのが一般的です。業者の業態によって単価設定は異なりますが、だいたい1坪あたり5,000〜10,000円、1平米あたり1,500〜3,000円ほどで設定しているところが多いようです。そのため、30坪の戸建てでシロアリを駆除するとなると、150,000円〜300,000円がひとつの費用目安となります。この費用相場よりも極端にかけ離れている場合は、依頼しないようにしましょう。
シロアリ被害は手遅れになる前に業者相談しよう
シロアリはどのような家でも住み着く可能性があり、一度発生すると自然にいなくなることはありません。そして、食害のスピードも早いため、見逃してしまうとシロアリ被害はどんどん拡大してしまいます。大切な家をシロアリ被害から守るためには、早期発見と対策が大切です。この記事で紹介したシロアリ被害の症状例にひとつでも当てはまる場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。また、当サイトでも信頼できるシロアリ駆除の業者を紹介しています。業者選びに迷った際は、ぜひ参考にしてみてください。