苔が生えた屋根を放置すると、外観を損なうだけでなく雨漏りなどの被害が出る可能性があります。しかし屋根の苔除去は高所作業のため、転落などのリスクがあり危険です。
この記事では屋根の苔が気になる方に向けて、屋根の苔をDIYで除去する方法と専門業者に依頼した場合のメリットや費用について解説します。苔を放置した場合の危険性や苔が発生する原因、苔を生えにくくする対処法についても紹介しているので、まだ屋根に苔が生えていない場合にも役立ちます。ぜひ家の屋根をきれいに保つ参考にしてください。
屋根の苔を放置するとどうなる?
屋根に薄く苔が生えた程度では、美観を損なうだけであまり危険性はありません。しかし屋根の苔をそのまま放置すると、苔が増殖し家に被害が発生する可能性があります。放置した場合に起こりうる代表的な被害を3つ紹介します。
屋根材が劣化する
苔が屋根材に生えると、屋根材の劣化が進行する可能性があります。なぜなら苔の根が屋根材の隙間に食い込み、亀裂が入る原因となるためです。特に瓦屋根の場合には苔の根が瓦の隙間に入り込みやすく、瓦が剥がれ落ちるなど被害が大きくなるかもしれません。
苔が生えている場所は水の流れが悪くなるため、水はけが悪くなるリスクもあります。さらに苔は水を含みやすいため、屋根が常に湿った状態となってしまいます。
苔が繁殖しやすくなる
苔は高温多湿な環境を好みます。すでに苔が生えている屋根の箇所は、苔にとって快適な環境です。苔自体が水分を含みやすいため、1度苔が生えるとさらに湿った状態となり苔が増殖しやすくなります。「屋根の一部にしか苔がなかったのに、放置したことで屋根一面が苔に覆われてしまった」という状態になる前に、早めに苔除去の対策を講じましょう。
雨漏りが発生する原因になる
屋根に苔が生えた初期段階ではあまり問題がありませんが、放置して苔が増殖したり屋根材が劣化したりすると雨漏りの原因になることも。苔が屋根の隙間から根を張ることで劣化した箇所からは、雨水が侵入しやすくなります。
雨漏りが発生すれば、室内の天井やクロスが傷んだり家具や家電が水に濡れたりする恐れがあるため、苔を放置するのは禁物です。
屋根に苔が生える原因3選
苔は「じめじめしている」「風通しが悪い」「日があまり当たらない」の3つの条件が揃った環境で増殖します。住宅が密集していたり高い建物や木々が周囲にあったりする家では、苔が生えやすいでしょう。さらに苔が付着しやすい屋根材や瓦もあります。ここでは屋根に苔が生える原因を3つ紹介します。
北側など日当たりが悪い
湿った環境を好み繁殖しやすい苔は、日当たりがよい南側よりも日陰になりやすい北側の屋根に生えやすいです。また北側でなくても、周囲の建物により日当たりが悪い場合は苔が生えやすいでしょう。
日光があまり当たらないと、雨水がなかなか乾かず湿った状態が長く続きます。そうすると苔が育ちやすくなるため、日当たりが悪い屋根に苔が生えていないか定期的にチェックするとよいでしょう。日当たりが悪い場所はカビも発生しやすい環境なため、カビが付着していないかも確認しておく必要があります。
水はけが悪い
日当たりが悪くても、屋根材に防水などの対策を講じていれば苔は生育しにくくなります。しかし防水対策しているからといって、油断は禁物です。屋根表面の塗膜は日光や雨などの影響を受けることで、経年劣化します。経年劣化により防水機能が低下した屋根材は水はけが悪くなり、結果として苔が生えやすくなります。
また傾斜が緩やかな屋根も水はけが悪く、苔が生える原因となりやすいため注意が必要です。月日が経つごとに屋根の防水性能は低下するため定期点検を行いましょう。
表面がでこぼこしている
表面がツルツルしている屋根よりも凹凸がある屋根の方が、苔が生えやすいです。それは、でこぼこしている隙間に苔の胞子が付着しやすいためです。特にセメントと繊維素材を混ぜたスレート屋根は、表面に小さな凹凸があり苔が生えやすいため注意しましょう。
屋根材の素材だけでなく、屋根の経年劣化により表面がザラザラしてくることもあり、そのような場合も苔の胞子が付着しやすくなります。
【屋根の苔対策】DIYで除去する方法

外壁や地面に生えた苔を除去するのと同様に、屋根の苔も自分で除去することが可能です。ただし屋根の苔除去は高所作業となるため、安全面に細心の注意を払わなければなりません。また瓦が落下する危険性があるため、瓦の苔を取る方法としてDIYはおすすめしません。
苔の除去剤を散布する
薄く生えた屋根の苔をDIYで取り除くには、苔の除去剤を使用する方法があります。苔の除去剤は、ホームセンターなど身近な場所で購入可能です。粉を溶かすタイプ・薄めて使うタイプ・ストレートタイプがありますが、そのまま使えるストレートタイプが便利でしょう。
苔が増殖し分厚くなっている屋根では、除去剤を散布しても苔を取り除けない可能性があります。そのため苔の除去剤は、苔が生え始めた初期段階での苔除去対策に有効です。
除去剤を散布するには、屋根に上って作業しなければなりません。高所作業に不安がある方は、DIYで行わない方が無難です。
高圧洗浄機を使用する
根をしっかりと張っていない初期段階の苔なら、高圧洗浄機での除去も可能です。脚立などを利用して高圧洗浄機の水が屋根に届くようであれば、自分で苔除去ができます。しかし水が跳ねて近所に迷惑をかける可能性があります。十分な作業スペースを確保できない場合や高圧洗浄機の水が屋根に届かない場合は、自分で行うことは難しいでしょう。
デッキブラシで苔を取り除く
費用をかけずにDIYで苔を除去するには、デッキブラシを使う方法があります。脚立などに上って届く範囲に苔が生えている場合は、デッキブラシでこするだけで簡単に苔を除去できるでしょう。しかし自分で屋根に上って作業するのは、避けた方が無難です。苔が生えている屋根は滑りやすくなっているため、落下して大怪我する危険性があります。
また苔を落とそうとデッキブラシで必死にこすった結果、塗装が落ちてしまうことも。デッキブラシでの苔除去は、軽い力で行うよう気をつけましょう。
屋根に苔が生えにくくするための対策
1度苔が生えると、除去しても苔はまた生えてきます。そのため屋根に苔が生えにくくなる対策を講じておきましょう。苔が生える前に対策しておけば、苔除去の手間や費用を抑えることが可能です。
苔が繁殖しにくい屋根材にリフォームする
日当たりや風通しをよくするなど苔が生えにくい環境を整えることは、屋根の場合難しいでしょう。しかし屋根材を苔が繁殖しにくいものに交換することは可能です。スレート瓦や粘土瓦は表面がザラザラしているため、どうしても苔が生えやすくなります。表面が滑らかなガルバリウム屋根など金属製の屋根にリフォームすることで、環境を変えずに苔を生えにくくすることができます。屋根が劣化している場合は、思いきって屋根のリフォームを検討してもよいでしょう。
屋根を塗装する
屋根の塗装が劣化して防水効果が低下している場合は、塗装し直しましょう。DIYで苔を除去する際にも塗装を剥がしてしまっている可能性があるため、塗装することをおすすめします。塗装はツヤがあるものを選ぶと、屋根材のでこぼこを滑らかにでき苔の胞子が付着しにくくなります。さらに塗装には苔防止の塗料もあります。特に苔が繁殖しやすい屋根部分には、苔防止の塗料を使用するのがおすすめです。
雨漏りしている場合は業者に屋根の苔を除去してもらおう
苔が生えている屋根から雨漏りが発生している場合には、自力で苔を除去するより業者に依頼した方が無難です。雨漏り修理は素人では難しく、応急処置しかできません。また適切に処置できなければ、雨漏りの被害が拡大するリスクもあります。
専門の屋根修理業者に相談し、雨漏り修理とともに屋根の苔を除去してもらいましょう。その際に苔が生えにくくなるよう、苔防止の塗装を依頼するのもよいでしょう。苔が生えている屋根側の外壁も確認し、苔や亀裂が発生しているなら同時に修理を依頼するのがおすすめです。
屋根の苔の除去を専門業者に依頼するメリット
屋根の苔除去はDYすることも可能ですが、専門業者に依頼することをおすすめします。その理由は、事故防止・破損リスク回避の2つです。それぞれについて詳しく解説します。
屋根からの転落事故を防げる
屋根の苔除去は高所作業を伴うため、転落のリスクがあります。さらに屋根に苔が生えていると、滑りやすくなっているためより注意が必要です。屋根から転落すると、大怪我をする可能性は十分にあります。屋根作業の専門業者は高所での作業に精通しており、しっかりと安全対策した上で苔除去を行います。転落事故を防ぐために、専門業者へ依頼しましょう。
屋根材が破損するリスクを減らせる
水圧が強い高圧洗浄機や力任せにこするなどの苔除去をDIYで行った場合、屋根材を傷めてしてしまうかもしれません。苔除去により屋根を破損してしまえば、屋根修理が必要になります。はじめから専門業者に苔除去を依頼することで、不必要な修理費用がかからずにすみます。
屋根の苔除去にかかる費用

屋根の苔除去にかかる費用相場は、約100m2の一般的な屋根でおよそ2〜5万円です。
バイオ洗浄は高圧洗浄にプラスして、洗浄剤を塗布する苔除去方法です。そのため高圧洗浄よりも高額になります。
業者による苔除去では、さらに足場の設置も行います。そのため足場代も必要です。足場を組むために必要な面積で計算されますが、相場はおよそ20万円です。
- 足場代:1m2あたり700~1,200円
足場は種類により単価が異なります。幅が広く主流となっているくさび足場の場合は、1m2あたり1,000円以上かかります。
家の広さや階数によりかかる費用は異なるため、業者に見積もりを出してもらいましょう。また火災保険を利用して、屋根や外壁の苔除去を無料や安くで行いたい方もいるかもしれません。残念ながら苔の発生は環境や劣化によるもののため、自然災害が対象となる保険ではカバーできません。
屋根の苔除去に関してよくある質問に回答
ここでは屋根の苔を除去する方法や屋根材について、みなさんが気になる疑問にお答えします。屋根の劣化や苔に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
屋根のお困りごとは専門業者に相談しよう
屋根の苔が薄く生えている程度であれば、家屋に被害はなく危険性はありません。しかし苔の量が多かったり雨漏りなどの被害が発生していたりする際には、専門業者に相談する方がよいでしょう。
苔を増殖させないためには、屋根の定期メンテナンスや工事のタイミングで苔対策も一緒に依頼するのがおすすめです。自力での危険な高所作業は避け、専門業者に任せるようにしましょう。
当サイトでは、屋根修理を得意とする業者を紹介しています。屋根の苔除去や雨漏りでお悩みの方は、ぜひ業者選びの参考にしてみてください。